2018年09月22日

ベントグラスの夏越しを考える(その二)

ベントグラスの夏越しを考える(その二)

(ペンクロスベントの実態)
日本のゴルフ場に使用されているベントグラスといえば代表格はペンクロスベントと思われます。このペンクロスベントは、アメリカペンシルバニア農業試験場にて3種類の親株から交配される一代交配種(F1)として1954年に発表されて以来、世界中のゴルフコースのグリーンに使用されてきましたが、世界のゴルフ場のグリーンにおけるペンクロスの使用割合は80%以上といわれています。
このペンクロス以前のベントグラスは、高温の条件下で衰弱がひどく、耐病性に劣っていて、冷涼地のごく限られた地域以外は夏の利用ができませんでした。
ゴルフ発祥の地であるスコットランドをはじめヨーロッパや北米は、この冷涼地が大半であったことから、ゴルフ場のグリーンにペンクロスが普及したと推測いたします。
しかし、日本のゴルフ場に置き換えれば、北海道や東北及び本州の山岳地帯のゴルフ場ならば前述の冷涼地に該当するため問題はありませんが、関東や中部および関西のゴルフ場においては、ペンクロス受難地域となってきました。
なぜなら、日本は平均気温の上昇する気候変動が激しく、温帯から亜熱帯となり、さらに熱帯化しているからであります。
この気候変動は、60年以上続いてきた絶対的グリーンの存在であったペンクロスベントに危機を与えようとしています。

早朝の13番G.JPG


(夏期の劣化の速さ)
9月に入って少しは気温が下がり始めたと思われますが、7月8月の日中の最高気温は35℃を超え、夜の気温も30℃を下がらない日がかなりの確率で続きました。
ベントグリーンの暑さ対策として、梅雨入り前にコアリング等を実施して、少しでも排水を良くし、また間引きをして個体の若返りを図り、根を深く張らせるなどの予防策を徹底しているのですが、実際暑くなってから手を入れることはできません。
せいぜい、刈り高を上げて個体が弱るのを防ぐか、早朝に気温が上がる前に散水をするか、日中に霧状の水を散布して気温を下げるか等を実施しますが、なかなか効果は上がりません。高温時のグリーンの劣化は極めて速く、一晩でグリーンが無くなるなどのリスクは高いものです。そこで、夏場の作業の大半は、グリーンを守る病害予防剤の散布に割かれます。
しかしそのような努力をしていても、今年の関東周辺の多くのゴルフ場のベントグリーンは赤く変色して、ところどころは裸地化がみられました。
ここまでくれば、絶対的グリーンのペンクロスベントを、別な品種に入れ替えなければいけないという話題が聞こえるようになりました。


(ニューベントへの転換)
現在バイオテクノロジーの進化により、遺伝子(DNA)ベースで新品種が誕生しているのですが、その一つである007を例にとって説明したいと思います。
007は、米国ニュージャージー州ラトガース大学で研究開発された最新世代のベントグラスであります。過去にこの大学の頭文字をとってL○○という品種が出回っています。
例えばL−93は、1993年ラトガース大学で開発された品種という意味になりますが、さらにL−93をベースに、サウスショアなどの因子を含め改良されたのが007にあたります。
初代がペンクロス等とすれば、2世代目がL−93やサウスショアになり、3世代がAシリーズ、4世代が007と続いてきました。
当ゴルフ場においてペンクロスベントから転換試験を行っている品種としては、前回書きましたCY2(2世代目)がありますが、この夏の状態は良好であったと感じております。
さて、国内においてこのCY2を全面的に使用し始めたのは、千葉市民ゴルフ場が始めであったと記憶しておりますが、かのゴルフ場の夏場のグリーンの状態はきっと良好であったと推察できます。
また、ニューベント以外の品種にも、ペンクロスベントを上回るものが発表されており、当ゴルフ場ではこの品種を使ってここ数年試験を始めております。

(アルファ品種について)
米国ジャックリーンシード社の開発した品種に、アルファ・クリーピング・ベントグラスがありますが、ペンクロスベントグリーンに繁殖する雑草であるスズメノカタビラを駆逐するという効能が特徴的な品種であります。
本来スズメノカタビラは、気温が27℃超の条件では枯れてしまうといわれておりますが、私の観察によれば、国内の多くのゴルフ場グリーンがペンクロスベントの中に30%以上のスズメノカタビラが繁殖しており、これが夏場になればすぐに枯れてしまい、プレーヤーから顰蹙を買っているという事実があります。
しかし、ペンクロスベントなのかスズメノカタビラなのか見分けにくいこともあって、多くのグリーンはまだら模様の状態でお互い育てられています。
したがって、30℃を超えてグリーンが枯れたという話は、多くは雑草が枯れたことを指している場合があると思われます。
話をアルファに戻しますが、この品種は匍匐力が抜群であるといわれ、スズメノカタビラの侵入を抑える働きが確認されています。
また、高温に強いことから夏場の管理もしやすく、気候変動による熱帯化にも対処できるものと思われます。
さらにアルファ―の蒔種時期は夏場に行うというのも特徴的なことで、この時期スズメノカタビラは枯れてきますので、取って代わるには良い季節と言えます。
ニューベントへの転換には、その繁殖力の大きさに一致した施肥が必要といわれ、また刈込回数増大にもつながってきます。
新品種がコース管理作業を増やし、コストを上昇させるとしたら、これは別な問題もあるものと考えられます。
どにょうな選択が一番良いのか、まだまだ研究の余地があるものと思われます。
posted by ミナミフジCC at 11:08| コース管理入門編

2018年08月05日

ベントグラスの夏越しを考える

ベントグラスの夏越しを考える

(涼しさを求めて)
今年は、人体に非常に危険な高温が続く毎日となっておりますが、言い換えればゴルフプレーにも問題が出ております。
特に高齢者のゴルフは、家族からも「ゴルフはやめてくれ」といわれ、ゴルフ好きなお年寄りは、プレーを少し控えるようになったと思われます。
こうなると、夏場のゴルフは少ない回数をプレーするにしても、少し涼しい場所を選択するようになってくるわけですが、標高100mで得られる気温の差は−0.6℃となっているので、700mの標高があれば4〜5℃の涼しさが得られると思われます。
さらに風速5mの風と林間コースの日陰があれば、かなり快適なプレーを楽しむことができると考えられます。
つまり、当ゴルフ場はそうした「自然の恵み特典付き」のコースであると思われます。
兎に角平地でのゴルフプレーは、暑くてたまらないと感じる、今年の夏であります。

(先ずをコースに風を入れること)
風速1mは気温換算で−1℃といわれておりますから、5mの心地良い風は−5℃の効果があると考えられます。これはまたグリーンにとっても同じ効果があり、風通しの良いグリーンは夏に病気が発生しにくいものです。
ベントグラスの夏越し(特に今年のような暑い夏)は、どのゴルフコースでも頭が痛い事でありまして、気温35℃を過ぎるような日は、あっという間に「いわゆるグリーンが溶けてしまう」危険があります。
したがって、対策として野外に巨大な扇風機をグリーン周りに設置するコースもありますが、その設備費は電線の距離に比例して、工事価格は上昇してしまいます。
したがって、密集した木々を間伐することが一番低コストで、維持費のかからない方法であるといえます。
プレーヤーにとっても、芝にとっても、コースの維持管理にとっても、それぞれに得の方法を長期計画で考えていく必要がありそうです。

(浸透剤の散布)
ベントグラスの夏越しで厄介な病気に「ドライスポット」というのがあります。
グリーン上のあちらこちらに赤い斑点症状が出て、枯れてしまうわけですが、いくら散水しても水をはじくのが特徴になっています。
すなわち水分の吸収ができなくて枯れることを意味していますので、防除するには浸透剤を使って散水することになります。
もちろん浸透剤は症状の出ているエリアに施し、散水は全体に行うということになります。
さて、ドライスポットの原因は目砂の有機物含有量にあるといわれていますが、どのグリーンも同じように発生するわけではないので、見極めが肝心であると思われます。
この浸透剤には様々な種類が出回っているようですが、安価なものには不良の材料が含まれていると聞きますので、良質の資材を調達する注意が必要でありますし、その使用方法が冬期間から定期的に予防散布を行うなどに変化していることにも留意が必要と考えます。
さてベントグラスの夏場の病気には、タンソ病やピシウム等様々なものがあり、温度や湿度の管理が上手くできていないことが原因であると考えられます。
すなわち、一定の透水係数を確保できるような仕組みを作っていくことが基本にありますが、夏場を迎える前のコアリングやバーチカルや目砂がどのように行われたかを確認していく必要があると思われます。
雨が降った後のグリーンの排水は良好なのか、風通しが良くて乾きやすいのかどうか、苔類など繁茂していないかどうか等、何度もチェックしていく必要があります。

(ニューベントと夏越し)
ベントグリーンの夏越しに強い品種といえば、CY2があります。
もともとC千葉県とY雪印が開発したものですが、現在は海外のメーカーに売買されて逆輸入されるようになりました。
この品種に関して当ゴルフ場の実験によれば、成長が著しく肥料を沢山必要としますが、夏場の安定さは抜群のものであり、ニューベントの仲間としてはおすすめのものです。
また、アルファ種も夏越しに強いことから、当ゴルフ場でも実験が行われています。
さて、どのゴルフ場でもニューベントへの移行はインターシードによって盛んにおこなわれており、その密植度や硬さや色などが異なってきているといわれています。
しかし、夏越しが上手くいくかどうかはとても大切な事であり、予算の多・少では押し測れないことと言えます。
様々な品種がグリーンに蒔かれ、その管理も一様ではないと言えますが、日ごろからの細やかな観察と管理が求められることになっています。
プレーヤーから求められているのは、早くて硬いグリーンでありますが、その目的を達成するためには密度を上げて、サッチを減らす基本管理を続けていく必要があります。
ニューベントはこの理想のグリーンを造るために改良された品種であることから、その活力を使って夏を乗り切っていきたいとと考えます。
posted by ミナミフジCC at 08:03| コース管理入門編

2018年06月15日

林間コースの管理

(林間コースを考える)
過日、某コース委員会の席において某委員長から、「当クラブは最高の林間コースを目指したい」という提言がありました。
日本におけるゴルフ場では、木を伐採することに反対する人たちと賛成する人たちが寝ても覚めても議論を続けておりますが、ゴルフ場における永遠の課題となっています。
さて伐採反対者は木を擁護し、生きている木々は一本たりとも切ってはならないといいます。つまり木々は自然のままに、人が手を加えてはならないと国立自然公園の規則を持ち出すことになります。
しかし、ゴルフ場は人工的な創造物であるため、自然公園の中に作ることは禁止されています。つまりゴルフ場=自然公園ではありません。
自然の地形と森林そして水路などを生かしてゴルフコースは設計されていることが多く、設計者の意図は、「プレー空間と自然との調和」を宣言していることが多いと思います。
ゴルフ場と自然は、背反する立場にありながら、共存していくことが求められていますので、この辺りをいろいろ模索する必要があります。

(人工林と天然林)
前段の部分を踏まえてこれからを考えたいと思います。
先ずは、開業50年以上経たゴルフ場の林は、伐採や植栽が必要な時期と考えます。
なぜなら50年という歳月が木々を成長させ、森林密度が上がり、設計当初のプレー空間とは異なったものになってきます。
一方森林の管理という意味で、下草刈りや下枝払いなどが挙げられますが、日本は植林王国であるため、植林された後適切な管理を施し、また大きくなった木々は建築木材やパルプ材に利用されています。
一方天然林は、植林こそされていませんが、種あるいは切株から発芽しその後人手によって管理された林ということになります。
このほかに、まったく人が立ち入ることなく残された森林を原生林といいます。
さて話はゴルフ場に戻りますが、プレーゾーンを囲む森林空間があり、その森林空間は各ホールのセパレートに重要な役割を果たしています。
そのセパレート空間が、下草が生え藪地(やぶち)となっていたら、これもまた残念な感じがすると思われます。
少なくとも、藪地でゴルフボールを発見することも、プレーする事もできません。
こうしたデッドゾーンは、ゴルフプレーヤーから嫌われています。
50年経過したゴルフ場ならば、木の年輪も豊かに太くて大きな木々をイメージできます。

(美しい林間コースを造る)
年月を経て美しい林間コースを造るには、計画的な管理が必要であることは理解できましたでしょうか。さて台風の通過の後には、50本とか100本の木々が倒木しますが、そもそも18H には木々が5万本以上あるとされ、50年間で10%位は自然淘汰されるものと思います。
木々の成長を勘案し、美しい林間に仕上げる為には、この間に30%から40%は間伐が必要となりますが、年間300本〜400本の計画的な間伐が必要になります。
こうした間伐が行われないと、台風等で多数の倒木が発生します。
何故なら、競合関係により成長できない木々は幹も細く、枝を張り出すことができない上、根の浅い弱い森林になっているからであります。
さらに倒木の箇所は土砂崩壊が起きやすく、下流域に災害をもたらす為、復帰植栽が必要になってきます。
さて日本国内には水源かん養保安林とか防風保安林、魚つき保安林など大切な保安林が多いのですが、この保安林のおかげで豊かな国が維持されているわけです。
この保安林に比較するとかなり弱い存在ですが、ゴルフ場は美しい林間と芝地を持ち、土砂の流れを防ぎ土壌水分をある程度保つことに役立っています。
ゴルフ場の多くは、山岳地帯にあり安定した林地を保つ必要がありますので、この美しい林間コースを目指して頑張っていただきたいと念願しています。

(美しい林間から豊かな林間へ)
雑木林(ぞうきばやし)と呼ばれている林があります。いわゆる建築材としては利用されない木の林という意味と思いますが、クヌギやコナラなどがこれに入り、いずれも陽樹と呼ばれて日の当たる明るい林です。
雑木林は、昔から里山の代名詞となっており、子供たちが遊ぶには適した林であり、落ち葉はたい肥に利用でき、シイタケ栽培もできますし、薪炭材として最も利用が多いものです。
昔の農村は、農家の周りに柿の木があり雑木林が広がり、大人も心を休めるには適した環境だったと言えます。
問題は、下草刈りや下枝払いなどの森林を維持するメンテナンスが必要な事であります。
こうした管理が行われなければ、すぐに陰樹に変化します。
4季折々の花が咲き、香り漂う樹木、また実がなることもうれしいことでしょう。
特に果実は帰宅時にお土産に持って帰ることができるので、家族に喜ばれることになるでしょう。またジャムとして作られるならば、レストランにて使用でき、美味しく頂けることでしょうし、シイタケも料理を彩ることになるでしょう。
このように美しい林間から豊かな林間へ変化していくことは、ゴルフプレーだけにとどまることなく、ゴルフ場から複合した楽しみを得ることができるでしょう。
posted by ミナミフジCC at 15:53| コース管理入門編

2018年05月07日

グリーンの排水

(表面排水とは)
ゴルフ場では表面排水と浸透排水を使っていますが、グリーンの排水となると多くのゴルフ場が表面排水を重視してきました。
日本のグリーンは、手前が低く奥が高い受けグリーンが多く、表面排水は奥から手前に流れるように設計されていることが多いものです。
また受けグリーンではなく、砲台グリーンと呼ばれているものも多数あります。
これは、降雨量が多く火山灰土の多い日本の土地柄がその砲台を好み、典型的な表面排水の設計を進めてきたのではないかと考えます。(排水ばかりではなく、風も通りやすく、光も当たりやすい。)
日本国内のゴルフ場では、フェアウェイやラフも同じように表面排水を考えて設計されておりますが、その多くはハローといわれる波の形を作って排水しています。
つまりコース内の表面を流れる水は、ある区間ごとに設置されたハローに導かれ、吞口(竪管)から排水路に入っていきます。

(暗渠排水とは)
暗渠排水と開渠排水というのが一対になっておりまして、土木工事では良く使われていますので、少し触れさせていただきます。
そもそも見かけないのが暗渠排水でありますが、地下深いパイプを通って水を流しているものです。
開渠とは河川のことを言っており、ゴルフ場の河川は大概ウォーターハザード(ラテラルウォーターハザード)になっているため、赤杭か黄杭が打たれています。
これらの仕組みを利用し、コース内は幾多の水路が流れ、時には池になったり、ダム湖になったりしてコース外に流れていきます。
池は修景池や沈砂池などに分かれており、それぞれ機能が異なりますが、プレーヤーにとってはすべてがハザードにすぎません。
さて、最近は有孔管(多孔管)流行りとなって、ゴルフ場内は暗渠排水にこのパイプを使って土中の水分を排除しています。
この技術の進歩が素晴らしく、コース内の水はけの悪いところは、このシステムを使って乾燥させています。

(USGAグリーンセクション)
筆者もおよそ40年前にこの設計図を見ましたが、サブグレーディングという文言に目がくぎ付けになったことを思い出します。
これはグリーン面の仕上がり高さに合わせて、地下面を削る(造る)ということであり、将来グリーンの管理に大切な基盤作業になります。
サブグレーディングからいくつかの排水構造を積み上げて、表面層に至るのが特徴ですが、手抜きすればいくらでもそれらしい構造と言い訳できることが問題点であります。
もちろんサブグレーディングに暗渠排水を実施している事が基本でありますが、バブル盛んな頃に造成されたグリーンはこの暗渠排水が手抜き工事だったことが多かったと聞いています
簡易なグリーンの地下構造では、排水工事なしで砂のみを使い、これに芝を張っているコースも見受けられますが、この場合はもともとの地盤(地質)の排水性能が問題となります。
そして、日本では排水の良い場所に作られたゴルフ場ならば、それは芝管理上うれしい事なのですが、多くの新設ゴルフ場は山岳部にあり且つ粘土質の地表を削って作ったコースでありますから、水溜まりの上に芝を張ったような環境になり、表面排水では管理不能な状態に陥っています。
話が多少それますが、日本の田んぼで、ある程度の排水があった方が良いとされていますが、このことはあまり知られていません。
USGAのグリーンセクションに話を戻しますが、この構造で優れていることは、排水が極めて良いため、根が地下深く伸長することだといわれています。
根の張り具合が健康のバロメータだと判断するならば、このグリーンの作り方は理想的なものになります。
そして、この構造を維持するためにはコアリング後の目砂について設計通りの砂を使っているかどうかが問題になります。
もともとの設計と異なる砂を追加すればするほど、分離した表層となっていくため、根の伸長が正常に働かないことになります。
管理技術は間違っていなくとも、もともとのグリーンの構造が間違っていれば、もう一度始めからやり直しになってしまいます。
グリーンの管理はほぼ永久的な長さで行われるものですから、基本的な部分が間違っているならば、どこかでやり直す勇気も必要でしょう。

(グリーン面の異なる仕上り)
浸透排水工事が行われるようになった今日、極めて自由度の高いグリーンが誕生してきました。
グリーンは円形ではなくいろいろな形に変わり、グリーン内に高低差が作られ、棚田のようなものに変形したり、ガードバンカーに向かって垂れ下がったりするものまで現れました。
ゴルフギアの進化とともに、グリーンの進化が起こりました。
確かに、ゴルフは戦略的に楽しいグリーンを獲得しましたが、コース管理者の頭を悩めることも多くなってきたのではないかと考えこむようになりました。

posted by ミナミフジCC at 10:18| コース管理入門編

2018年04月03日

ゴルフ場の樹木

ゴルフ場の樹木

(松枯れ病を考える)
マツノザイセンチュウという名前を聞いたことがありますか。
これが、日本の松の木を減らし続けている犯人なのであります。
松枯れ病の特徴は、ある日突然葉が赤く枯れはじめ、よく観察すると枯れるのは1本だけではなく周囲にも同じような枯れた松が発見されることです。
松枯れ病の原因であるマツノザイセンチュウ(毛細管に入って栄養を吸収する線虫)を減らす為には、これを媒介するマツノマダラカミキリ(昆虫)を捕殺しなければなりません。
このため定期的な殺虫剤の散布が必要とされていますが、これはなかなか困難な問題もあり、センチュウの活動を制約するアンプル剤(幹に差し込まれる)が併用されています。
しかし、いずれにしても予算的な限界があり、病害を抑えることは非常に難しいとされています。そこで、最終手段として多くのゴルフコースは枯れた松を速やかに伐採し蔓延を防いでおります。
日本の代表的な松でありますクロマツは松枯れ病にかかりやすいといわれ、かなり減少しました。
また若干抵抗力のあるといわれているアカマツやヒメコマツでも減少の一途をたどっています。
江戸時代の街道沿いに植えられた松林は、日本の風物となっていますが、残念なことにその姿はなくなってきています。
国内のゴルフコースで名門と呼ばれるコースは松林が多く、その容姿を競ってきましたが、今は松の保存をどうするか、あるいは松が枯れたならどのような木に代えていくのかを論争しています。
いずれにせよ、スギ(日本スギ)やヒノキが花粉症の原因となり悪者になってしまった今日、これらの木々が候補に上らなくなりました。

(松林に変わるものとは)
ゴルフ場の植栽では、高木(空間のハザード)でプレイの目標になりやすい木をコースの戦略的位置に植えます。
その種類として落葉樹を嫌う傾向があります。
落葉樹は秋になると多量の枯れ葉を落とし、その回収に管理者の作業が増えることが多い上、枯れ葉が芝に発育障害を与える場合もあります。
戦略上に関係ある高木には、シイやカシあるいはモミやツガなどを見かけますが、前者はブナ科の常緑樹であり落葉はしませんし、また人々は昔からシイの実を食べており、生活になじみのある木で、後者はマツ科の常緑針葉樹であり、特にモミはクリスマスツリーで使われていることからよく知られた存在であります。
針葉樹は△の形から、一方の広葉樹は〇形であることから、その美観と関係がありますが、それらを組み合わせた植栽がコースのデザインに影響します。
このように、松に変わる代替え木はいろいろな地域の気候風土に合わせて選択して植えられているものと思われます。
ところで、個人的に大好きな樹木にヒマラヤシーダがあります。
この木はスギの仲間ではなく、マツの仲間であり、今問題とされているスギ花粉の問題はありません。
ヒマラヤ山脈西部の標高1500m〜3000mの地域が原産とされ、世界を代表する美林としても称賛されており、且つヒンドゥー教の聖なる樹木として崇拝されています。
この木の精油は、防虫効果がありまたカビを防ぎ、さらに今流行りのアロマテラピーに利用されていることが特筆すべき内容です。
確かにこの木の近くを歩くと、独特の香りを感じます。

(香り高い木々)
ゴルフ場で喜ばれる香り高い木がいくつかあります。
北海道では春にライラックが紫色(白色)の花びらを咲かせ、その香りが強いことが特徴になっていますが、この木はモクセイ科で香水の原料にも使われています。
またオオシマザクラは名前の由来となっている伊豆大島が原産といわれ、その花の香りの高い事とその葉を塩漬けにして食することが日本では良く知られています。
この中にあってキンモクセイは常緑樹で生垣に使われ、10月中旬に強い芳香のある橙黄色の小さな花を密生させて咲く人気の木であります。
特に夜間は、その木の近くにいなくても香りが感じられるほどの強いもので、もしゴルフ場に植栽されたならば、コース全体が香しいものとなるでしょう。
同じくモクセイ科に属する植物にジャスミンがあります。
あのジャスミンティのジャスミンなのですが、香りを特徴づけるcis-ジャスモンはいまだ工業生産法が確立されていないため、自然の花から抽出した香料は非常に高価であります。
ジャスミンの香りは一般的にジャスモン酸メチルという物質で代用されているのですが、天然の花の香りとは多少異なるといわれています。
天然のジャスミンは、100m位の範囲から強く香ってきますので、人はその香りの正体が近くにあるに違いないと周囲を探すものです。
そのほか、ゴルフコース周辺の香り高い木々を紹介しますと、カリンは秋に黄色の実がつき甘い香りがしますし、クロモジは高級爪楊枝の材料として珍重され、葉や枝から独特の香りがします。
また月桂樹の葉は料理に欠かせないものでありますし、山椒もまた葉や実を料理のアクセントとして利用されています。こうした木々の特徴を織り込んでセッティングしたならば、プレイが楽しいものになるでしょう。
posted by ミナミフジCC at 09:49| コース管理入門編

2018年03月10日

作業の省力化

(資材の小水量散布)
この小水量散布の定義はどうなっているのでしょうか。
ミシガン大学のジョー・M・ヴァーカス博士によれば、肥培管理において葉面散布肥料を散布する方法として、1ガロン/1000平方フィートということで1uに換算すると40ccを散布するのが少量散布の定義となっているそうです。
但し、土壌処理となるとこの値は100cc以上に設定します。
広く日本の農業全般を見回すと、対象となる農業作物や苗は芝と比べて大きな個体のため、小水量云々は普及していません。
例えば日本芝はイネ科の植物ですが、米作りにおけるイネの草丈と芝生を比較するとわかりやすく、前者は刈り高50cmで後者は刈り高10mmと仮定すると、後者が小水量散布を実施することは十分可能と判断できます。
さらに、日本は世界の中でも降水量が多く且つ森林率が高いため、湧き水や地下水利用が盛んで、水資源は豊富になります。
(余談ですが、この山から注ぐ川が海の魚を育てているから、日本の水産業は成り立っています。)
一方欧米では、芝管理が貴重な水資源(降水量が少ないため)を使用することから、管理方法はもともと小水量散布で行ってきたようです。
日本においてはおおよそ農業資材の散布については、1000倍で1リットル散布というやり方が普及してきた歴史があり、欧米型40ccの小水量散布は理解しがたい方法であったのだろうと推察します。

(作業効率)
現在はスプレーヤーを駆使し、散布量や散布面積をパソコンにて設定し作業を行うようになりました。おおよそコースの芝管理面積は18Hで30ha余りに及びますが、かつては2人一組で長期間に渡って行った散布作業は、現在は1人で行われるようになり且つ水量が10分の1になり作業量が軽減されました。
さらに資材技術の改善により、散布後は泡沫が現れ作業前と作業後の見分けがつきやすくなっていることから、作業のダブりを防ぎ効率的な作業が可能になりました。
また水和剤の多くはかつて粉末でしたが、現在は均一に溶けやすい顆粒になってきましたので、濃淡に関しても改善されました。
長い間薬剤濃度に関して議論が行われてきましたが、濃度試験結果により薬剤それぞれの最大効果を発揮できる濃度が決まり、ピンポイントの濃度散布により、無駄な作業はなくなっています。
さて、当ゴルフクラブにおいてはレギュラーティグランドが一年中青々とした洋芝(ペレニアルライグラス)を使用しているため、病害の予防散布が必要となっています。
この作業は18面の散布を1人2時間余りでこなせるようになり、過去からは考えられないスピードアップとなっています。
(バミューダからゾイシアへ)
Bermuda(バミューダ)は北大西洋にあり、カリブ海に浮かぶ諸島であることは知られておりますが、バミューダグラスが世界中のゴルフ場で育てられていることはあまり知られていません。
この芝は亜熱帯性気候地域で多く使われ、日本国内では主に沖縄のゴルフ場で多く見かけられます。またティフトン芝はこのバミューダがアメリカのティフトン農業試験場で品種改良されたものでありますが、やはり沖縄を中心に日本国内でも多く育てられています。
但し、このティフトン芝はかなり繁殖能力が高いため、フェアウェイに植えてもラフを駆逐するといわれております。
さらに一度導入すると、これを駆除できないことも判明しており、導入に失敗した話も良く聞きます。(この後述べるゾイシアとの混播は嫌われている。)
一方のZoysia japonica(日本芝)は日本古来の芝でありますが、日本国内で多く生産されゴルフ場や公園などにおいて使用されております。
注目したいことは、アメリカ北部のゴルフ場において、寒い地域はフェアウェイの芝をバミューダからゾイシアへ転換しているということであります。
また、ゾイシアは耐暑性や耐病性に優れており、粗放な管理にも耐えられるという特性があります。

(サスティナブルゴルフ)
最近読んだコース管理記事に、サスティナブルゴルフ(持続可能なゴルフコース)を目指そうというのがありました。
かつて、筆者が沖縄地域におけるコース管理費と関東地域におけるそれを比較したところ、大きな差がありました。すなわち、管理コストにおいて南高北低傾向を示しているのであります。
この理由として、芝の成長する期間が長いか短いのかが大きな燃費の違いになっているものと想像しています。
さらに、茎葉の太さや粗さでも、南の亜熱帯系は太く粗いものが多い傾向がみられますし、
一方北の寒地型の茎葉は細く、かつ密になっているものが多いようです。
前項のZoysiaは暖地型芝草に入っておりますが、大きくノシバとコウライシバに分かれており、その密度の違いから日本国内のゴルフコースにおいて、前者はラフに後者はフェアウェイに使用していることが多くなっています。
この芝の特徴は、秋口から枯れはじめ翌年の春に芽を出すというものですが、冬期間の枯れた芝のイメージはプレーヤーにとってはマイナスとなります。
試行錯誤の結果、多くのゴルフ場では冬期間着色剤を使ってフェアウェイを青くしております。この着色剤の使用は、春先の芽だしにプラスに働くことから、管理者としては一粒で二度おいしいキャラメルのような味わいとなっています。
さて表題のサスティナブルについてですが、Zoysiaが粗放な管理に耐えられるため、今の低コスト時代にマッチしているものと感心を寄せています。
posted by ミナミフジCC at 09:39| コース管理入門編

2018年02月22日

刈込回数の省力化

(ジベレリンの発見)
1926年台湾において、黒沢英一氏がイネの馬鹿苗病の原因毒素を発見、その後これは植物ホルモンの総称としてジベレリンと命名されました。
このgibberellinは、植物の細胞伸長や発芽促進および老化の抑制などの効果あることが解り、農業に大きな革命を起こしたといわれております。
さてこの発見がこれから話を進めるゴルフ場の芝の管理において、大きな技術変化をもたらしたといって過言ではありません。
人の髪の毛で例えるならば、髪がふさふさして綺麗であるが、床屋さんに行って切っていただく回数が減ったという話であります。
肥料を散布して芝を成長させることは常識なのですが、抑制剤を打って成長を調整することにより、茎葉が伸びにくくなって、芝刈りの回数が減り、省力管理ができるという話であります。
ところで成長ホルモンにはジベレリンとともにオーキシンという物質がありますが、これは前者とはやや作用が異なるといわれています。
オーキシンはIAA(インドール−3−酢酸)を中心としたものであります。

(ゴルフ場の置かれている状況)
ゴルフ人口については、すでにいろいろな資料が世の中に出回っておりますが、ここ20年間で30%余りの来場者数が減少し、現在小康状態にあるといわれておりますし、この間にプレースタイルはキャディ付きからセルフ化の道を歩み、かつ平日は来場者数がシニア層に支えられ維持されていることから、プレー単価は低くなっています。
こうした流れから、ゴルフ場はメンテナンスコストを抑えるような傾向がありますし、中でも作業にかかわる人員は、18H当たりバブル時の18人から現在は8人〜10人へと減少しているのが趨勢となっています。
こうした人員削減の嵐の中、ご多分に漏れず当ごルフ場においても省力化を推し進めてきました。
ここで登場するのが抑制剤ですが、この効果はまだまだ未知の世界であり、実験段階ですので散布時期や数量については確定していませんし、各コースでシノギを削っての情報合戦をくりかえしています。
また、洋芝と呼ばれる寒地型芝を抑制するのか、あるいは日本芝と呼ばれる暖地型芝を抑制するかによって、資材の種類や時期を変えることになります。
兎に角、この魔法を使って芝生の密度が上げ、芝刈り回数を減らし、かつプレーヤーにも好評というのが大切なシナリオなのであります。

(抑制剤の施用について)
ここでは日本芝への施用について触れさせていただきます。
日本芝は原則的に初夏から夏にかけて成長しますが、現在お礼肥と呼ばれている秋肥が主力的な管理方法に変化しつつあります。
この初夏から夏の成長期をどのように抑制するかが肝でありますが、先ほど触れましたように目的は、髪がふさふさしていながら床屋行く回数を減らすということで、肥料と抑制剤を同時に使用するのがポイントとなります。
観察すべきポイントは、芽のブンケツとか芝の密度となりますが、葉の色の変化もまた大切な視点となります。
すなわち芝の健康状態を観察するとか、健康状態の会話ができるかが芝管理者の役割になります。
ところで話は変わりますが、過日沖縄喜瀬(きせ)のゴルフ場でプレーする機会がありました。
このゴルフ場には21世紀の芝と呼ばれる「シーショアパスパラム」という品種が使われています。
この芝がハワイやオーストラリア、タイ、南アフリカなど世界各国で使用され、その耐塩性と環境対応力は世界一といわれています。
その健康優良児的な存在は、筆者が一目で惚れてしまうほどなのですが、この世界一の芝生に匹敵する健康管理ができうるならば、管理者としては最高であると思います。
さて話は戻りますが、日本芝の健康管理は初夏から夏にかけて上手く行う事が年間管理の大切なポイントになります。
ひたすら刈り込んで、その密度を上げていく管理技術は終わりました。

(刈込に纏わる話)
刈込回数が増えれば、また刈りカス処理に追われることが問題となります。
フェアウェイをグリーンモアで刈り、バケットで刈りカスを回収するなどの芸当ができるのは、世界で一つ、オーガスタナショナルゴルフコースだけだと思いますが、これは夢の世界なのです。
通常は、リールモアで刈込み後、スイーパーなどで刈りカスを除去するわけですが、さらに集められた刈りカスはたい肥にするとか、ミミズの餌にする以外にリサイクルは難しいといわれています。
最近では、刈りカス(マット)分解剤などの技術が進み、多くのゴルフコースでこれを使用していますが、これもまたなかなか上手くいかないことがあります。(時間がかかります)
そういう意味では、抑制剤で刈込回数を減少させることは、2度手間3度手間を省き、作業の効率化を図るうえで大切な作業であると思います。
posted by ミナミフジCC at 10:09| コース管理入門編

2017年12月26日

植栽とコース管理

植栽とコース管理

(桜の話)

某ゴルフ場のコース委員会の出来事です。
某委員からコース側に要望が出されました。
これから桜の木を植えて花を増やしましょう、サクラは日本を代表する花であり、サクラの花を見たくて来場者も増えると考えられるがいかがなものでしょうか。
これに対して担当のグリーンキーパーが反対意見を述べました。
桜(ソメイヨシノ)ならば2週間程度が見ごろであり、開花期間の短さと管理の手間を考えるとマイナスになります。
何故なら、サクラは毛虫(マイマイガとかサクラスガ)が大量発生しやすく、その駆除に追われるほか、テング巣病などの病気が発生しやすく、その予防も大変です。
さらに最近は、乗用カートでのプレーが多くなり、サクラの地上根によりコース脇を走るカート道路は破壊され、道路がデコボコになってプレーヤーの苦情が絶えません。
(併せてサクラの木の周囲は芝生が成長しにくいので、裸地になりやすいです。)
というわけで、ゴルフコースではサクラの植樹が減少しているようです。
このサクラ、春の季節を彩りまた散っていく美しくも可憐な花ですが、なかなかゴルフコースとは相性が合わないようです。

(ゴルフコースと植栽)

ここ数年の出来事でありますが、メタセコイアという木がゴルフコースで話題となっています。
別名「あけぼの杉」といって日本各地で植栽されており、原産は中国となっています。
その特徴は、きわめて成長が早く、大木になるまで時間がかからないといわれています。例えば、幼木を植えて2〜3年もすれば高さ10mを越すような成長が期待できますし、開業後30年経過したゴルフコースのメタセコイアは、20m以上の大木となっているものですし、まっすぐに伸びる習性をもつことから、ゴルフコースのセパレート&防球用に最適といわれ植樹されてきました。(メタセコイアは歴史的に古い起源をもつ木であり、地球の遺産であります。)
しかしこの木は現在コース管理者にとって不都合な木に指定されています。
何故なら、先のサクラの項でお話しましたように、道路破壊の達人なのでありますから。
成長が早い事は根の張りが早いということになりますが、浅根性の性質を持つことから地上付近の根を横に張り出すという特技があります。
同様な事は、植林されたスギも同じ特徴があります。植林は主に挿し木を使いますが、スギの挿し木は地中深く伸びる直根が出ないため台風や豪雨によって簡単に倒れやすくなります。
これに対して種から育った杉は「直根が伸びて、土砂災害に強い森林になる」というから自然の災害防止の為には種から育てないとダメということになります。
つまり、杉林で発芽している幼木は大切にしなさいという事ですね。
コース管理者は、台風などの豪雨や強風が影響を受けやすいゴルフ場を管理しているため、植樹とは大切な仕事なのです。

(樹木の直根性と深根性)

筆者は長い事、針葉樹は直根性ですなわち深根性と思っていましたが、真実は違っていたようなのです。
但し基本的には、樹木の枝ぶりを見ればその地下の根の張り方は大体理解できるのでありますから、それはそれでよいものと思います。
しかし深根性の樹木と浅根性の樹木の分類を見れば、なかなか興味深いものがあります。
針葉樹の中では、アカマツやクロマツやモミやアオモリトドマツなどは深根性でありますが、ヒノキやカラマツやヒバやトウヒは浅根性に分類されています。
成長に時間がかかり、なかなか大きくならない樹木は深根性であるようなイメージです。
広葉樹の中では、ケヤキやクヌギやミズナラやトチなどは深根性でありますが、ミズキやブナやカバやニセアカシアは浅根性に分類されています。
広葉樹の深根性樹木のイメージは、家具とか建築に使われる樹木の硬さと質とかを感じさせるものです。
自然界の山(森林)にはこうした樹木を見つけて、分類して何か得るものがありそうですが、ゴルフコースにおいては、地盤の土質とか岩の存在とかを確認するとともに、植栽の是々非々を理解していかなければなりません。
但し、日本は国策としてスギとヒノキを植樹してきましたので、多くの森林はこれらの木々でおおわれています。(国土のおおよそ10%)
しかし、今後のゴルフコースを考えるならば土地にあった木々を植栽したいものです。
100年単位の夢のような一歩になりますし、将来に向かっての強い思いですから。

(標高1000mの指標木)

若いころに東北の山々を散策していた頃の事、営林署の方に標高と林相の違いについてお話を聞く機会がありました。
その折、1000m指標木という言葉が出まして、アオモリトドマツ=1000mという内容でした。
そしてまたシラカンバ600m、ダケカンバ700mという記憶もよみがえります。
当時北東北の国有林を管理する青森営林局の方だった思いますが、指標木の話は生涯忘れられない思い出となりました。
このような話をつなげると、それぞれの土地には必ず指標木があるに違いないと思います。
それぞれの気候と地質に見合った樹木とは何でしょうか、私たちはそのような樹木を大切に育てているのでしょうか。
ゴルフコースに自然に育った木々は、その土地になじみながら成長して、美しい大木になっていくでしょう。
当ゴルフコースにおいても、順調に生育している木々もあれば、病気になって枯れたり、台風によって倒れたりするものがありますが、生き残って大木になっているのは貴重な存在であります。
プレーヤーの思い出には、その木々がプレーの思い出となって残っていくことでしょう。
その反対に、そのホールの顔となる名木は、コース管理者が何十年も育ててきた結果と思います
そして「モミの木が残った」「ケヤキが美しい」などとなれば幸いです。
posted by ミナミフジCC at 10:55| コース管理入門編

2017年11月18日

ゴルフトーナメントの準備2

着色技術
秋11月に入ってからのゴルフトーナメント開催コースでは、テレビ放映のためプレーゾーンの着色が行われています。最近開催された男子プロゴルフ大会(御殿場の某ゴルフ場)の着色の綺麗さは、お見事でした。
さて、この着色について野芝や高麗芝などの日本芝(冬に休眠して枯れる)が基本的な対象になりますが、一年中青々とした洋芝であっても着色効果があります。
最近では、すべての芝に着色するという技術が採用されているのですが、この技術は芝の管理革命ともいわれております。
さて着色手順と効果について少し要領を述べてみたいと思います。

(日本芝の着色作業)
@ 着色時期(秋)は、芝が生き生きとした青さを保っている時期に一回目を行う。
A 秋は、追肥(お礼肥)と呼ばれてサブ的な施肥を実施することが過去は通常とされてきたが、最近ではむしろメインの施肥と考えることがある。この考え方に立つと、秋肥と着色はほぼ同時に行うことになる。最低12度c13×2
B 着色散布回数については、休眠する前の10月下旬から11月上旬が1回目とし、以降1カ月おきに散布し、複数回繰り返することで仕上がりがきれいになる。
C 散布は表面だけではなく、葉の裏面などにも色がつくように、いろんな角度から噴霧することで、綺麗な緑に見える。

(日本芝の着色効果)
@ 日本芝の休眠時期を遅らせ、芝生の発根が促進され、春の芽吹きが早くなる。
A 熱の吸収効率が高まり、地温の保温効果がある。
B 仮に雪が降っても(10〜20cm程度)、雪溶けは早まるほか、霜溶けも早くなり、寒害から守ることができる。

新たな技術として、近年はこの着色剤と鉄剤の使用が盛んにおこなわれるようになりました。鉄剤は芝を伸長させることなく、緑色を上げる効果があります。
特にトーナメント前がグリーンのスピードに影響することから、施肥よりも鉄剤で発色させることがあります。
また、秋の日本芝においても、鉄剤と尿素という組み合わせで散布することがありますが、これは緑色を維持する効果と、翌年の春の芽吹きを促進する狙いがあります。
この方法は、複数回実施することで、失敗を避け安心して作業を行うコツとなっています。
作業時のタイミングは、気温を参考にする事ですが、筆者は最低気温に気を付けて行います。日中の最高気温とか平均気温とは関係なく、芝は最低気温で休眠期のスイッチが入るからです。
話は飛躍しますが、鉄剤はマットの原因とされるサッチが分解されるとも言われております。
この効果については現在試験中のコースが多いと思われますが、まだまだ確立された技術とは言い難いと思います。
したがって、伝統的な更新作業を怠ることなく、新技術を取り入れることをお勧めしたいと思います。


バンカーの整備
ゴルフトーナメントコースはテレビの放映上、綺麗なコースの条件としてバンカーの美しさが大いに関係します。また参加選手からのバンカーの硬さ(柔らかさ)に関する意見(要望)もかなり寄せられます。
素人目には、綺麗な白い砂を補充すれば良いと思われがちなのですが、管理者の立場に立てば、排水が良く粒子が揃ったもの(感覚的には握ってもパラパラとほぐれ、固まらないもの)が良いと思います。
見た目に白い砂の中には、ガラス質が混じっているものが多く、見た目はきれいなのですが、粒子が不揃いのことが多く、また硬く締ってしまうものも多いようです。
また、バンカーの砂は高価な為、いわば札束を敷き詰めているのと同じ感覚であり、補充しても風により飛散してしまうことやバンカーショットにより拡散してしまい、バンカーの外にくまなく散布され、バンカーの砂はなくなってしまいます。
さらに、雨が降るたびごとにバンカー内は池もどきとなりやすく、泥混じりの砂になって色褪せて硬く締ってしまいます。
このような排水不良のバンカーは数多く、その原因はバンカーの底にある暗渠排水の目詰まりによる排水不良です。
つまりは、バンカーの整備とはこの暗渠排水の修繕が重要であり、この修繕無くしてバンカーは成り立ちません。
フラット(たいら)な地形ならばプレー上は喜ばれますが、逆に欠点としてバンカーが排水不良に陥る可能性が多く、人気コースのバンカーが雨に弱いという可能性は高くなります。
例として、河川敷ゴルフ場は概ねフラットな地形が多く、台風のあとはバンカーの水が引くことはなく、結局1ケ月もプレーができないということが起きます。
あと
話は変わりますが、バンカーの縁取りは極めて重要な要素であり、エッジカッターで小まめな整備が求められます。フライングモアならば、水平方向の草刈りは十分に実施できますが、垂直方向の草刈りはエッジカッターなしには実施できません。
垂直的な刈込みは、バンカーというスタイルを維持するために必要ですが、日本芝を管理する上では、ランナー(匍匐茎))切りなどの作業として言い換えられて、このトリミングこそトーナメントコースの重要な作業となっています。
全部のバンカーのトリミングをすると、大量のランナー出ますが、この大量のランナーをヘビーラフとかの裸地部分に敷き詰めて覆土すれば、やがてしっかりした芝地となりますので決して無駄になりません。
最近はバンカーのスタイルが変化し、斜面に砂を張り付けたようなバンカーが多くなりました。このため、斜面の砂を均一にならす機械はまだ登場していませんので、どうしても人手によるならし作業が発生します。
また、固まったバンカー砂は機械だけではほぐれないため、人手によりスコップや鋤簾などを使ってほぐす必要があります。
このように、トーナメントコースのバンカー作業には、かなりの手数がかかるものです。
バンカー均しはプレーヤーのマナーといわれていますが、最近ではマナーを知らないプレーヤーも多いことから、管理者の悩みの種となっています。
posted by ミナミフジCC at 15:18| コース管理入門編

2017年10月28日

ゴルフトーナメントの準備

トーナメントグリーン
ゴルフトーナメント開催コースにおいて、コースセッティングの全権を委任されたグリーンキーパーは、トーナメント当日まで気苦労が絶えません。中でも一番はグリーンの仕上がり(グリーンの速さと硬さ)がトーナメントの成否を決めると言っても過言ではありません。
トーナメントディレクターからの無理難題と思われる様な、厳しいコースセッティング要求に、日夜苦労の連続です。トーナメントを経験したグリーンキーパーは、異口同音にこの話にうなずきます。
特に男子プロのツアーは、その要求される水準は高く、スティンプメーターで12フィートというスピード、硬度計では11s/㎠という硬さ・・・・が目標とされています。
30年前は、このような計測器が発明されていなかったため、ただ早くて硬いグリーンを造れと言われて、グリーンキーパーも感覚の世界でやるしかなかったのです。
しかし現代は、前述のスティンプメーターや硬度計等の計測器が発明され、数値目標もはっきりしています。
一方では、プレーヤーは相変わらず速さも硬さも感覚だよりの世界でありますから、それを自分なりの感性でとらえるしかない状態と思います。
早くて硬いグリーンは、しばしば全米オープンとか全英オープンなどのトーナメントをテレビにて観戦する機会がありますが、グリーンは緑色ではなく、黄色や茶色になっていることもあります。これはグリーン上でボールの転がりを速くさせる為、極端に刈高を短くしたり、転圧して固く引き締まったグリーンにしたりすることで、芝が受けるストレスが原因です。
筆者もトーナメント開催コースのグリーンキーパーの立場に立っていたことがありますから、テレビを見るとついつい大会終了後に相当なダメージを受けたグリーンをどのように回復させるのかが心配になります。
さて、トーナメントの準備前には健康なグリーンを造っていなければなりません。
何故なら、トーナメントは一時的な厳しい環境を作り出しているに過ぎず、芝草は病と闘っているようなものなのです。
例えるならば、毛を刈り取られた羊たちのようなものですから、あちこちにバリカンによる出血もあれば、寒さに弱い裸状態になっていることを感じていただければよいと思います。
健康な状態とは、更新作業が行われ若い芽が多く、根が10cm以上深く地中に入り、枯れた根や茎や葉で構成されるマット層が薄く、芝の葉がピンと立っている状態を言います。
その健康的な芝の状態を維持する為には、生育環境を良好にする普段のメンテナンスがいかに重要であるかを感じております。
そして、開催日の1年前からグリーンのセッティングを始めます。
仮に大会開催日のグリーンの刈り高が3oとしますと、1年前からは3.5mm位で刈り込みを行い徐々に慣らして行きます。このような低刈りをするためには、グリーンの表面に1mmでも凹凸があると、グリーンカットの際に「ちぎり」「段差」が生じてしまいます。また、きついアンジュレーションでも段差が生じる事があります。この事からグリーンの表面を薄く作り上げ、地盤を固くしなければ、いくら刈り高を下げてもきれいに仕上がらないのです。この刈り高0.5mm差の為にグリーンキーパーやスッタフは苦労する訳です。
そしてトーナメントを開催するコースであっても1年も前からお客様を規制する訳には行きません。むしろ開催直前まで通常営業をしなければならないのです。通常営業をしながら先ほどのコンマ数ミリの世界を表現しなければならないのです。ここが一番の難しく悩ましい所です。コースクローズさえできたらもっと良い仕上がりに持って行けるのにと多くのグリーンキーパーは思っています。時には経営サイドと意見を戦わせ、結果的に悔しい思いをする事があります。それでもプロのプレーヤーが存分にプレーに専念できる様にするのがグリーンキーパーに課せられた使命ではないでしょうか。

ティグランドとフェアウェイのトーナメント仕様
ティグランドの整備は、大会開催のやはり1年前に入ります。使用するティグランドは、各ホールにある3面から5面のどれかになります。これが決まったら、開催時期がどの季節になるかによって、草種の変更や仕様を検討します。青々としたきれいなティグランドはカメラ映りが良いですから。
夏真っ盛りならば、関東から関西のゴルフコースはコウライ芝のティグランドとなりますが、春早い3月4月ならば洋芝のティグランドに変更し、その青さを表現してみたいものです。
ティグランドは毎日使われるものですが、その利用頻度によって傷みは変わってきます。
したがって、できるものならば大会直前は使用禁止として、痛みを軽減しなければなりません。
さてティグランド仕様留意点は、前昇勾配がついていることや面に凹凸がないこと、及び裸地がないことになります。(200uあるいは300uの面積確保も必要)
前昇勾配とは、ティグランドの表面排水確保のため、前が高く後ろが低い1%から2%の傾斜をつけていることを言います。
フラットならば良いと思われがちなのですが、これは水溜まりを誘発し、凹凸や裸地になりやすく維持できません。
そういえば、高速道路や国道も表面排水勾配(傾斜)が必ずつけてあります。なければ水溜まりを泳いで車を走らせることになります。
この正確な勾配を確保することが整備の肝となりますが、未整備のコースは国内にたくさんあり、水溜まりによる病気や苔、あるいは藻も発生しています。こうなるとやがては芝がなくなり裸地になってしまいます。ティグランドに限らずコース全体で、表面排水をどのようにコースデザインに組み合わせて行くかも設計者の腕の見せ所ではないでしょうか。
次にフェアウェイでは出来る限りディボットのない状態にしたいものです。また、ボールが芝に沈むような所がない様にするのもトーナメント仕様としては重要なポイントです。
コースの難易度を決定する為に、プロゴルフ協会からフェアウェイの幅等細かい指示があります。加えてラフの芝刈高にも注文が来ます。一般的に通常より長めの(40mm〜60mm)オーダーが来ます。長くするのは簡単ですが、トーナメント終了後にいきなり元の刈高に戻す事はできません。一ケ月程度で徐々に戻して行きます。この間は一般プレーヤーにとっては厳しいコースとなってしまいます。
トーナメントを開催するに当たっては、コース管理のグリーンキーパーや管理スタッフは本当に苦労の連続です。天候に振り回されながらも当日に最高のコンディションを提供しようと努力します。トーナメント終了後は実に良い経験と勉強になった事を一同で感じるものです、そう言う意味ではトーナメントを開催した事は将来的にも大きな自信に繋がると思います。
posted by ミナミフジCC at 09:52| コース管理入門編