2018年06月15日

林間コースの管理

(林間コースを考える)
過日、某コース委員会の席において某委員長から、「当クラブは最高の林間コースを目指したい」という提言がありました。
日本におけるゴルフ場では、木を伐採することに反対する人たちと賛成する人たちが寝ても覚めても議論を続けておりますが、ゴルフ場における永遠の課題となっています。
さて伐採反対者は木を擁護し、生きている木々は一本たりとも切ってはならないといいます。つまり木々は自然のままに、人が手を加えてはならないと国立自然公園の規則を持ち出すことになります。
しかし、ゴルフ場は人工的な創造物であるため、自然公園の中に作ることは禁止されています。つまりゴルフ場=自然公園ではありません。
自然の地形と森林そして水路などを生かしてゴルフコースは設計されていることが多く、設計者の意図は、「プレー空間と自然との調和」を宣言していることが多いと思います。
ゴルフ場と自然は、背反する立場にありながら、共存していくことが求められていますので、この辺りをいろいろ模索する必要があります。

(人工林と天然林)
前段の部分を踏まえてこれからを考えたいと思います。
先ずは、開業50年以上経たゴルフ場の林は、伐採や植栽が必要な時期と考えます。
なぜなら50年という歳月が木々を成長させ、森林密度が上がり、設計当初のプレー空間とは異なったものになってきます。
一方森林の管理という意味で、下草刈りや下枝払いなどが挙げられますが、日本は植林王国であるため、植林された後適切な管理を施し、また大きくなった木々は建築木材やパルプ材に利用されています。
一方天然林は、植林こそされていませんが、種あるいは切株から発芽しその後人手によって管理された林ということになります。
このほかに、まったく人が立ち入ることなく残された森林を原生林といいます。
さて話はゴルフ場に戻りますが、プレーゾーンを囲む森林空間があり、その森林空間は各ホールのセパレートに重要な役割を果たしています。
そのセパレート空間が、下草が生え藪地(やぶち)となっていたら、これもまた残念な感じがすると思われます。
少なくとも、藪地でゴルフボールを発見することも、プレーする事もできません。
こうしたデッドゾーンは、ゴルフプレーヤーから嫌われています。
50年経過したゴルフ場ならば、木の年輪も豊かに太くて大きな木々をイメージできます。

(美しい林間コースを造る)
年月を経て美しい林間コースを造るには、計画的な管理が必要であることは理解できましたでしょうか。さて台風の通過の後には、50本とか100本の木々が倒木しますが、そもそも18H には木々が5万本以上あるとされ、50年間で10%位は自然淘汰されるものと思います。
木々の成長を勘案し、美しい林間に仕上げる為には、この間に30%から40%は間伐が必要となりますが、年間300本〜400本の計画的な間伐が必要になります。
こうした間伐が行われないと、台風等で多数の倒木が発生します。
何故なら、競合関係により成長できない木々は幹も細く、枝を張り出すことができない上、根の浅い弱い森林になっているからであります。
さらに倒木の箇所は土砂崩壊が起きやすく、下流域に災害をもたらす為、復帰植栽が必要になってきます。
さて日本国内には水源かん養保安林とか防風保安林、魚つき保安林など大切な保安林が多いのですが、この保安林のおかげで豊かな国が維持されているわけです。
この保安林に比較するとかなり弱い存在ですが、ゴルフ場は美しい林間と芝地を持ち、土砂の流れを防ぎ土壌水分をある程度保つことに役立っています。
ゴルフ場の多くは、山岳地帯にあり安定した林地を保つ必要がありますので、この美しい林間コースを目指して頑張っていただきたいと念願しています。

(美しい林間から豊かな林間へ)
雑木林(ぞうきばやし)と呼ばれている林があります。いわゆる建築材としては利用されない木の林という意味と思いますが、クヌギやコナラなどがこれに入り、いずれも陽樹と呼ばれて日の当たる明るい林です。
雑木林は、昔から里山の代名詞となっており、子供たちが遊ぶには適した林であり、落ち葉はたい肥に利用でき、シイタケ栽培もできますし、薪炭材として最も利用が多いものです。
昔の農村は、農家の周りに柿の木があり雑木林が広がり、大人も心を休めるには適した環境だったと言えます。
問題は、下草刈りや下枝払いなどの森林を維持するメンテナンスが必要な事であります。
こうした管理が行われなければ、すぐに陰樹に変化します。
4季折々の花が咲き、香り漂う樹木、また実がなることもうれしいことでしょう。
特に果実は帰宅時にお土産に持って帰ることができるので、家族に喜ばれることになるでしょう。またジャムとして作られるならば、レストランにて使用でき、美味しく頂けることでしょうし、シイタケも料理を彩ることになるでしょう。
このように美しい林間から豊かな林間へ変化していくことは、ゴルフプレーだけにとどまることなく、ゴルフ場から複合した楽しみを得ることができるでしょう。
posted by ミナミフジCC at 15:53| コース管理入門編