2018年03月10日

作業の省力化

(資材の小水量散布)
この小水量散布の定義はどうなっているのでしょうか。
ミシガン大学のジョー・M・ヴァーカス博士によれば、肥培管理において葉面散布肥料を散布する方法として、1ガロン/1000平方フィートということで1uに換算すると40ccを散布するのが少量散布の定義となっているそうです。
但し、土壌処理となるとこの値は100cc以上に設定します。
広く日本の農業全般を見回すと、対象となる農業作物や苗は芝と比べて大きな個体のため、小水量云々は普及していません。
例えば日本芝はイネ科の植物ですが、米作りにおけるイネの草丈と芝生を比較するとわかりやすく、前者は刈り高50cmで後者は刈り高10mmと仮定すると、後者が小水量散布を実施することは十分可能と判断できます。
さらに、日本は世界の中でも降水量が多く且つ森林率が高いため、湧き水や地下水利用が盛んで、水資源は豊富になります。
(余談ですが、この山から注ぐ川が海の魚を育てているから、日本の水産業は成り立っています。)
一方欧米では、芝管理が貴重な水資源(降水量が少ないため)を使用することから、管理方法はもともと小水量散布で行ってきたようです。
日本においてはおおよそ農業資材の散布については、1000倍で1リットル散布というやり方が普及してきた歴史があり、欧米型40ccの小水量散布は理解しがたい方法であったのだろうと推察します。

(作業効率)
現在はスプレーヤーを駆使し、散布量や散布面積をパソコンにて設定し作業を行うようになりました。おおよそコースの芝管理面積は18Hで30ha余りに及びますが、かつては2人一組で長期間に渡って行った散布作業は、現在は1人で行われるようになり且つ水量が10分の1になり作業量が軽減されました。
さらに資材技術の改善により、散布後は泡沫が現れ作業前と作業後の見分けがつきやすくなっていることから、作業のダブりを防ぎ効率的な作業が可能になりました。
また水和剤の多くはかつて粉末でしたが、現在は均一に溶けやすい顆粒になってきましたので、濃淡に関しても改善されました。
長い間薬剤濃度に関して議論が行われてきましたが、濃度試験結果により薬剤それぞれの最大効果を発揮できる濃度が決まり、ピンポイントの濃度散布により、無駄な作業はなくなっています。
さて、当ゴルフクラブにおいてはレギュラーティグランドが一年中青々とした洋芝(ペレニアルライグラス)を使用しているため、病害の予防散布が必要となっています。
この作業は18面の散布を1人2時間余りでこなせるようになり、過去からは考えられないスピードアップとなっています。
(バミューダからゾイシアへ)
Bermuda(バミューダ)は北大西洋にあり、カリブ海に浮かぶ諸島であることは知られておりますが、バミューダグラスが世界中のゴルフ場で育てられていることはあまり知られていません。
この芝は亜熱帯性気候地域で多く使われ、日本国内では主に沖縄のゴルフ場で多く見かけられます。またティフトン芝はこのバミューダがアメリカのティフトン農業試験場で品種改良されたものでありますが、やはり沖縄を中心に日本国内でも多く育てられています。
但し、このティフトン芝はかなり繁殖能力が高いため、フェアウェイに植えてもラフを駆逐するといわれております。
さらに一度導入すると、これを駆除できないことも判明しており、導入に失敗した話も良く聞きます。(この後述べるゾイシアとの混播は嫌われている。)
一方のZoysia japonica(日本芝)は日本古来の芝でありますが、日本国内で多く生産されゴルフ場や公園などにおいて使用されております。
注目したいことは、アメリカ北部のゴルフ場において、寒い地域はフェアウェイの芝をバミューダからゾイシアへ転換しているということであります。
また、ゾイシアは耐暑性や耐病性に優れており、粗放な管理にも耐えられるという特性があります。

(サスティナブルゴルフ)
最近読んだコース管理記事に、サスティナブルゴルフ(持続可能なゴルフコース)を目指そうというのがありました。
かつて、筆者が沖縄地域におけるコース管理費と関東地域におけるそれを比較したところ、大きな差がありました。すなわち、管理コストにおいて南高北低傾向を示しているのであります。
この理由として、芝の成長する期間が長いか短いのかが大きな燃費の違いになっているものと想像しています。
さらに、茎葉の太さや粗さでも、南の亜熱帯系は太く粗いものが多い傾向がみられますし、
一方北の寒地型の茎葉は細く、かつ密になっているものが多いようです。
前項のZoysiaは暖地型芝草に入っておりますが、大きくノシバとコウライシバに分かれており、その密度の違いから日本国内のゴルフコースにおいて、前者はラフに後者はフェアウェイに使用していることが多くなっています。
この芝の特徴は、秋口から枯れはじめ翌年の春に芽を出すというものですが、冬期間の枯れた芝のイメージはプレーヤーにとってはマイナスとなります。
試行錯誤の結果、多くのゴルフ場では冬期間着色剤を使ってフェアウェイを青くしております。この着色剤の使用は、春先の芽だしにプラスに働くことから、管理者としては一粒で二度おいしいキャラメルのような味わいとなっています。
さて表題のサスティナブルについてですが、Zoysiaが粗放な管理に耐えられるため、今の低コスト時代にマッチしているものと感心を寄せています。
posted by ミナミフジCC at 09:39| コース管理入門編