2018年02月22日

刈込回数の省力化

(ジベレリンの発見)
1926年台湾において、黒沢英一氏がイネの馬鹿苗病の原因毒素を発見、その後これは植物ホルモンの総称としてジベレリンと命名されました。
このgibberellinは、植物の細胞伸長や発芽促進および老化の抑制などの効果あることが解り、農業に大きな革命を起こしたといわれております。
さてこの発見がこれから話を進めるゴルフ場の芝の管理において、大きな技術変化をもたらしたといって過言ではありません。
人の髪の毛で例えるならば、髪がふさふさして綺麗であるが、床屋さんに行って切っていただく回数が減ったという話であります。
肥料を散布して芝を成長させることは常識なのですが、抑制剤を打って成長を調整することにより、茎葉が伸びにくくなって、芝刈りの回数が減り、省力管理ができるという話であります。
ところで成長ホルモンにはジベレリンとともにオーキシンという物質がありますが、これは前者とはやや作用が異なるといわれています。
オーキシンはIAA(インドール−3−酢酸)を中心としたものであります。

(ゴルフ場の置かれている状況)
ゴルフ人口については、すでにいろいろな資料が世の中に出回っておりますが、ここ20年間で30%余りの来場者数が減少し、現在小康状態にあるといわれておりますし、この間にプレースタイルはキャディ付きからセルフ化の道を歩み、かつ平日は来場者数がシニア層に支えられ維持されていることから、プレー単価は低くなっています。
こうした流れから、ゴルフ場はメンテナンスコストを抑えるような傾向がありますし、中でも作業にかかわる人員は、18H当たりバブル時の18人から現在は8人〜10人へと減少しているのが趨勢となっています。
こうした人員削減の嵐の中、ご多分に漏れず当ごルフ場においても省力化を推し進めてきました。
ここで登場するのが抑制剤ですが、この効果はまだまだ未知の世界であり、実験段階ですので散布時期や数量については確定していませんし、各コースでシノギを削っての情報合戦をくりかえしています。
また、洋芝と呼ばれる寒地型芝を抑制するのか、あるいは日本芝と呼ばれる暖地型芝を抑制するかによって、資材の種類や時期を変えることになります。
兎に角、この魔法を使って芝生の密度が上げ、芝刈り回数を減らし、かつプレーヤーにも好評というのが大切なシナリオなのであります。

(抑制剤の施用について)
ここでは日本芝への施用について触れさせていただきます。
日本芝は原則的に初夏から夏にかけて成長しますが、現在お礼肥と呼ばれている秋肥が主力的な管理方法に変化しつつあります。
この初夏から夏の成長期をどのように抑制するかが肝でありますが、先ほど触れましたように目的は、髪がふさふさしていながら床屋行く回数を減らすということで、肥料と抑制剤を同時に使用するのがポイントとなります。
観察すべきポイントは、芽のブンケツとか芝の密度となりますが、葉の色の変化もまた大切な視点となります。
すなわち芝の健康状態を観察するとか、健康状態の会話ができるかが芝管理者の役割になります。
ところで話は変わりますが、過日沖縄喜瀬(きせ)のゴルフ場でプレーする機会がありました。
このゴルフ場には21世紀の芝と呼ばれる「シーショアパスパラム」という品種が使われています。
この芝がハワイやオーストラリア、タイ、南アフリカなど世界各国で使用され、その耐塩性と環境対応力は世界一といわれています。
その健康優良児的な存在は、筆者が一目で惚れてしまうほどなのですが、この世界一の芝生に匹敵する健康管理ができうるならば、管理者としては最高であると思います。
さて話は戻りますが、日本芝の健康管理は初夏から夏にかけて上手く行う事が年間管理の大切なポイントになります。
ひたすら刈り込んで、その密度を上げていく管理技術は終わりました。

(刈込に纏わる話)
刈込回数が増えれば、また刈りカス処理に追われることが問題となります。
フェアウェイをグリーンモアで刈り、バケットで刈りカスを回収するなどの芸当ができるのは、世界で一つ、オーガスタナショナルゴルフコースだけだと思いますが、これは夢の世界なのです。
通常は、リールモアで刈込み後、スイーパーなどで刈りカスを除去するわけですが、さらに集められた刈りカスはたい肥にするとか、ミミズの餌にする以外にリサイクルは難しいといわれています。
最近では、刈りカス(マット)分解剤などの技術が進み、多くのゴルフコースでこれを使用していますが、これもまたなかなか上手くいかないことがあります。(時間がかかります)
そういう意味では、抑制剤で刈込回数を減少させることは、2度手間3度手間を省き、作業の効率化を図るうえで大切な作業であると思います。
posted by ミナミフジCC at 10:09| コース管理入門編