2017年08月26日

ゴルフ場グリーン管理で難しい夏越し 今年の特徴は長雨と日照時間の少ないこと

ゴルフ場グリーン管理で難しい夏越し
今年の特徴は長雨と日照時間の少ないこと

私が大好きな果物「梨」が今年市場に出回っていませんが、どうなっているのでしょうか。
いつも購入する千葉県の「ナシ園」に問い合わせますと、今年は雨の日が多く、日照時間が少ないため実が大きくならないうえ、完熟していないそうです。
つまり「ナシの実」の大きさと甘さが達成できず収穫が遅れているとのお話をお聞きしました。
また夏野菜も同様に、かなり長雨で出荷が厳しいと聞いています
さてゴルフ場の芝管理においては、どのような影響が出ているのでしょうか。
本音を言わせていただくと、今年はとてもつらい状況にあります。
作物の出来、不出来と日照時間の関係は誰しも理解できることと思われますが、これに長雨が加わることで過湿状態になり、病気に感染しやすくなります。
ところで、今年の夏は7月にスタートしましたが、その時期全国的に空梅雨が続き、乾燥被害を受けてグリーンに使用しているベントグラス(寒地型)は悲鳴を上げました。
したがってグリーン管理の問題点は、朝夕の散水が生命線であり、ほぼ1ケ月この作業に追われました。しかし散水をすると病気になり、しなければ枯死するという綱渡り状態でした。
グリーンは1面単位で状態が異なりますので、散水量はどこも同じというわけではなく、グリーンの顔(乾燥の具合)を見ながら調整することになります。
中には日焼けに苦しむグリーンもあることから、UVカット剤を散布したところもあります。
7月この状態では、例年行ってきた更新作業(排水はよくなるが、乾燥に弱い)をストップすべきかどうかを迷っていました。
しかし、ストップすれば長雨になったら大変ですので、軽い更新作業を施すことにしました。
これがムクタイン6mmというものですが、この決死の判断が功を奏し、現在の8月を生き残っています。

夏の病気と治療

いったん病気にかかってしまうと治療剤を使用することしかできません。この治療剤は金額が高いものですが、さらに結果的に治るかどうかも怪しいものです。
したがって、管理者ができることはあくまで予防であり、日ごろから芝の健康管理を行うことが重要です。
ゴルフ場は芝生をはがして、地盤を「耕うん」するのが農業的にはよいことでありますが、これができないため、らしきものをすることになります。
らしきもので昔はホーキングという作業がありましたが、農場で使うフォーク(牧草を扱う道具)を芝草に突き立て、穴らしきものをあけるというものです。
その後は、スライシング、バーチカル、コアリング、スパイキングと様々な技術が開発されました。
私の友人には、ミミズを飼いならしてこれをコースに放ち、コース中穴だらけにするという勇猛果敢な管理者もいましたが・・・。
いずれにせよ、こんないい状態のグリーンに何故穴をあけるのか、なぜ状態がいい時に砂を撒いているのか、という苦情を聞きます。
ごもっともなご意見ですが、この状態をキープするには必須作業なのでご理解いただきたいと申し上げるしかありません。
さて、先ほどのムクタイン6mmというのは、直径6mmの穴をあけるという意味ですが、この作業によって長雨時の排水は確保され、病気予防できたということになります。
芝管理は、大体地表から10〜30mmですべてのことが起きているといわれています。
ここに微生物がたくさん生存し、常に有機物を分解して植物に食べモノを供給していますし、病害虫も同居しています。
そして、水分も維持されますし、好気性の菌は適度の空気が必要になっています。
これらの、環境を良好に保つのが病気にかからないことにつながります。

夏を乗り越えたなら

湿度70%以上で気温30℃は寒地型芝草の生育限界値となっていますので、これを超える気候が続くようであれば、グリーンの品種選択を変えなければなりません。
日本の気候環境は熱帯化傾向にあり、最近の気候は予想を超える変動をたどっています。
そもそも梅雨前線の位置がひと昔前に教科書で学んだ位置と異なってきましたし、夏の気圧配置とか冬の気圧配置もずれてきました・・と天気予報士が言い出しました。
秋は本当に秋空を見ることができるのか(秋雨前線が続くことはないか)を疑う声も聞こえますが、太陽を浴びることは大切です。
表題となったグリーン管理で難しい夏越しが終わったならば、いよいよメンテナンスは最高潮に達します。
最高のコンディションを期待される競技が目白押しの季節に入ります。
早く滑らかな転がり、葉が立った状態で密度のあるグリーンを求められます。
この状態を作り上げるために、毎年苦労しているわけですが、今年も何とか皆様に納得いただけます状態になれば幸いです。
posted by ミナミフジCC at 09:23| コース管理入門編